労働基準監督署が未払いの残業代を支払うよう指摘してくることがあります
長きに渡って悪質なサービス残業をさせている会社には、労働基準監督署から残業代の支払いに関する指摘が行われます。
今回は多くの事業主を悩ませる、「労基署から残業代の指摘を受けた時の対応」について詳しく解説していきますので、心当たりのある方はぜひ確認してください。
サービス残業がNGな理由を確認しておきましょう!
労働基準監督署がサービス残業を厳しく指導するのは、その会社では働く従業員の健康管理に大きく関わるからです。
残業時間の管理を全くせずに従業員に負担をかけ続けている会社には、必ず心身の病を抱えた人が存在します。
また、このような状態を放置しておくと、最悪自殺などのトラブルに発展することもあるため、労働者を守る労働基準監督署としてはサービス残業を許すわけにはいかないのです。
労基署から指摘されたら全てのサービス残業代を払うの?
割増賃金請求権には、2年という民事上の時効が存在します。
また、労働基準監督署には割増賃金請求を命じる権限はないため、過去の判例・裁判例は,「労基署から指摘されたから」ではなく、「従業員から直接訴えがあったから」こそ,残業代の支払いに関する訴訟手続きにすすんでいることになります。
また、既に撤回されてはいるものの昭和57年に出された通達では、割増賃金の遡及期間を3ヶ月と定めていましたので、実務上、各労働基準監督署の指導にも是正の対象となる割増賃金の遡及期間につき,この考え方が残っているものと思われます。
労働基準監督署からの指摘を無視するのはNG?
サービス残業について従業員が労働基準監督署に相談をするという状況は、本人の心身を含めて事態が深刻化している証です。
労基署に支払いを命じる権限がないといっても、この状況を放置すると多くの従業員から訴訟を起こされることもありますので、労働基準監督署からの指摘をイエローカードと捉えて早めに対策をするのが理想といえます。
サービス残業の支払いに関する対応方法がわからない時には?
サービス残業代の支払い手順や方法が全くわからない場合は、労働関連トラブルを多く取り扱う法律事務所に相談をするのが理想です。
また法律事務所では、残業代トラブルを回避できる就業規則の指導なども行っていますので、従業員からの不平不満が多い時には早めに相談をするようにしてください。