年俸制を勘違いしている事業主が増えている!
年俸制を採用している企業の経営者の中には、「年俸に全ての賃金を含むのだから、残業代の削減というメリットが得られるだろう」と勘違いしている方々が多く見受けられます。
年俸制の仕組みや残業代に関するルールを知らずに年俸制を導入すると、未払いの残業代請求によって会社の首を絞めることにもなりかねませんので、当ページをから「年俸制と残業代の関係」についてしっかり学ぶようにしてください。
年俸制でも残業代の支払いは必要です!
年俸制を特別視しない労働基準法は、年俸制の従業員であっても月給制の社員と同じように「残業代、休日労働割増賃金、深夜割増賃金が支払われるべき」と定義しています。
このルールを知らずに「年俸制=残業代不要」と捉えてしまうと、毎日残業や休日出勤をしている従業員から「この会社はサービス残業をさせている!」と訴えられることもあるため注意が必要です。
従業員と会社との相互にメリットの大きい年俸制ではありますが、導入を検討する事業主の知識不足によって不平不満が生じない対処をするようにしてください。
年俸の中に一定の残業代を含めることは可能となっています!
就業規則や本人との契約書の中で下記のように残業代の支給条件を記載しておけば、年俸の中に残業手当を含むことが可能となります。
・年俸には1ヵ月あたり○時間分の時間外労働手当を含める
・年俸には年間○日分の休日出勤手当を含める
・年俸には1ヵ月あたり○万円分の時間外労働手当と休日出勤手当を含める
ここに定めた時間や金額内であれば、従業員は残業をしても手当の請求ができなくなります。
この方法で年俸制の運用を行うと、時間外労働の限度を超えない限りは残業代支払に関する事務手続きの簡略化というメリットも得られますので、総務や給与担当者の負担も少なくなるといえるでしょう。
もっとも、就業規則や契約書内で定めた時間外労働を超過した場合は、従業員の申請に基づいてきちんとした支払いを行うようにしてください。
まとめ
会社と従業員の両方にメリットのある年俸制は、現在では人事システムの効率化を図る企業を中心に多くの労働者に適用されている給与支払い方法となっています。
近年では年俸制の急増により残業代未払いのトラブルが急増していますので、就業規則や契約内容の拡充により訴訟などが起こらない対策を講じておくべきといえるでしょう。