賞与と残業代の相殺はなぜNGなのでしょうか?


残業代を賞与で相殺することは基本的にNG

月々の残業代を計算できる人事総務スタッフの余裕がなかったり、給与計算をシンプルに行いたいと考える会社の中では、「残業や深夜残業の費用を賞与で相殺すれば良いのではないか?」という発想も生まれがちです。賞与を支払う前のタイミングで過去数ヶ月間の残業時間をきちんと計算し、その金額もボーナスに上乗せすれば、労働基準法的に問題がないように感じられることでしょう。しかしこの方法で月々の給与や賞与を支給すると、違法行為として訴えられることもあるのです。

残業代は毎月支給すべきもの

残業や深夜残業、休日出勤代は、労働基準法の第24条で定められた「毎月払いの原則」にもとづいて従業員に支給すべき存在です。このような割増賃金を基本給と同じタイミングで支給しなければ、労働基準法違反で事業主が訴えられることもあるのです。また本来1月にもらえるはずだった残業代が6月の賞与と一緒になった場合は、遅延利息の請求が行われるリスクも高まるため注意が必要です。

残業代を払いすぎて賞与が減るのはOK?NG?

「利益の調整」という本来の意味を持つ賞与は、従業員の成績だけでなく会社の経営状態によって支給額の増減が生じる可能性があるものです。月々の基本給と残業代をしっかり払っていて、その後の経営悪化によって賞与額が減る場合は、この対応によって法的な労使問題が生じることはありません。これに対して、会社の利益が下がったタイミングで残業代の支払いをボーナス月に変えるのは、毎月払いの原則から外れることで労働基準法的にも問題になるといえます。

残業の多い従業員の賞与を下げる会社もある

残業代請求の多い従業員に「仕事が遅い」とか「効率が悪い」といったネガティブなイメージを抱く事業主の中には、増大する残業代請求と反比例して賞与額を減らす取組みを行なう人たちも存在するようです。当該従業員によって人件費が膨らみ、プロジェクトの運営が赤字になるほどのデメリットが生じている場合は、請求された残業代と仕事能力の欠如を関連付けても良いかもしれません。しかし、プロジェクトの進行状態や業態によっては、たくさんの残業が必要となるケースも多く見受けられますので、今回のテーマとなる相殺を含め、賞与額を決める判断をする場合は労働基準法に詳しい弁護士や社会保険労務士に客観的アドバイスを仰ぐのが理想といえそうです。

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