有給休暇の分割は労使双方にメリットがある
原則は日単位で取得する年次有給休暇も、子供の送り迎えや家族の通院などに付き添う従業員にとっては、半休といった分割された形で取得したいこともあります。また、多くの作業を抱えている多忙な人が1日休んでしまうと、プロジェクトの進捗が悪くなることもあるため、年次有給休暇の分割という考え方は会社にとってもメリットのあるものだといえます。今回は、厚生労働省の情報などを参考にしながら、有給休暇の分割について事業主の皆さんと一緒に考えていきます。
有給休暇の分割は可能?
厚生労働省で公開している資料では、年次有給休暇の分割について「労働者が希望し使用者の同意があれば、労使協定が締結されていなくても、日単位取得の阻害にならない範囲で、半日単位で有給休暇を与えることが可能です」と記載されています。この文面から考えれば、労使双方が年次有給休暇の分割に対して同意をすれば、午前半休・午後半休といった形で会社を休むことも可能であると考えられます。
有給休暇の分割を可能にする際の注意点
半日単位の有給休暇取得を可能にする場合、その内容を就業規則の中で規定しておくべきです。就業規則に何のルールもない状態で、一部の従業員に対してのみ半日単位の有給休暇取得を許可すると、他の従業員の間で不平不満が生じる可能性があるため、注意が必要です。
有給休暇中の緊急出勤にもきちんとした対応を
年次有給休暇の分割に近い状況は、突然の社内トラブルによって生じた緊急出勤でも起こりうると考えられます。緊急出勤によって丸1日の休暇を付与できなかった会社側は、その分の休暇を他の日に与える必要があります。
有給休暇の分割で判断ができないことがある場合は?
今回紹介した年次有給休暇の分割は、事業主の判断と就業規則の定めによって、運用ルールが大きく変わると考えられます。事業主の認識が曖昧なままで半日単位の取得を許可してしまうと、後々労使間のトラブルに繋がることもあるため注意が必要です。年次有給休暇の分割についてわからないことがありましたら、労働基準法関連に詳しい大阪の弁護士法人四ツ橋総合法律事務所にご相談ください。