変形労働時間制を導入する企業が増えている
労働者と事業主の間で労働時間の短縮を容易に進めるために設けられる変形労働時間制にも、賃金の保障を含めたいくつかのルールが存在します。こういった難点を無視して事業主の判断だけで賃金保障のルールを設定すると、従業員から不平不満が出ることもあるため注意が必要です。今回は、労働基準法の観点から変形労働時間制における賃金保障について徹底解説していきます。
変形労働時間制における賃金の保障とは?
今回の主テーマである変形労働時間制の賃金保障とは、従業員が年次有給休暇を取得する際に問題となるポイントです。年次有給休暇を使った日に会社側が支給すべき金額は、所定労働時間によって変わります。例えば1日あたりの所定労働時間が5時間の場合は、年次有給休暇を使った日に保障する賃金も5時間分です。これに対して所定労働時間が8時間の場合は、保障賃金も8時間分と金額が大きく異なります。
日給制における賃金保障
変形労働時間制を導入している会社で働くスタッフが日給制の場合は、所定労働時間の長短関係なく同じ額の日給が支払われます。こうした雇用契約になっているスタッフの所定労働時間が日によって違う場合は、所定労働時間の長い日に休むことで賃金面での従業員側の得(会社にとっての損)が生まれるといえます。
月給制における賃金保障
月給制で賃金支払をしている場合も、日給制と同じように所定労働時間によって会社側の損得が変わります。しかし月給の場合は会社側が支払う賃金は年次有給休暇取得の有無と関係なく一定なので、こういった損得に気づかない事業主が多い傾向にあるようです。
変形労働時間制による賃金保障で会社が損をしないために
変形労働時間制によって生じるデメリットを最小限に抑えるためには、所定労働時間における長短を抑える方法がおすすめです。日々の所定労働時間に開きの少ない会社では、時給、日給、月給という支払方法にかかわらず、賃金保障による諸問題が生じにくくなります。今回紹介した賃金保障の部分で疑問や不安を抱えている時には、労働基準法関連問題に詳しい当事務所に相談をして、良策を提案してもらうこともより良い方法のひとつになることでしょう。