有給休暇の残った分はどうなってしまうのでしょう?


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有給休暇の残った分はなくなるのでしょうか?

年次有給休暇に関する問合せの中には、業務多忙などの理由で消化ができず「残った分の扱い」について多くの質問が寄せられています。労働者の権利である有給休暇は、従業員からすれば「残った分も消化したい」と願うものです。これに対して従業員の稼働率をアップさせたいと考える事業主からすると、「残った有給休暇は消えてくれた方が嬉しい」と望んでしまうこともあるのです。では、労働基準法では「余った・残った有給休暇」に対してどんな扱いをすべきと規定しているのでしょうか?

残った有給休暇は翌年に繰り越せる

1年以内に消化ができなかった年次有給休暇は、時効となる2年まで繰り越せる仕組みとなっています。例えば今年の4月1日に入社した従業員に、10日分の年次有給休暇が10月1日に付与されたと仮定します。この従業員が1年を通して忙しく、全く有給休暇の消化ができなかった場合は、時効となる翌々年の9月30日まで消化申請が可能となるのです。2年を過ぎた分は、消滅することとなりますので、「有給休暇は2年以内に消化すべきもの」としっかりとした意識付けをしておく必要があります。

有給休暇の残った分を消滅させる規定は作れる?

多忙な会社にあっては溜まってしまいがちな従業員の年次有給休暇に対して「なるべく消化されたくない」と考える事業主の中には、就業規則の中で「繰越不可能な規定」を記載しようとする方々も多く見受けられます。しかし、年次有給休暇の残った分の繰越は「労働者の権利」となりますので、こういった規定を就業規則に記載した時点で労働基準監督署から厳しく指摘や指導を受けますので注意してください。

退職すると有給休暇の権利が消滅する

退職によって年次有給休暇の消化ができなくなる従業員の中には、「未消化分を賃金請求できないだろうか?」と考える方々も多く見受けられます。この疑問の答えは、「できない。」です。「在職中の疲労を回復する」といった目的のある有給休暇は、退職をする時点で「疲労回復の必要がなくなる」と捉えられるものなのです。
また、従業員の有給休暇の取得に対し、事業主側には退職日を越えての時季変更権を行使することはできません。

こういった特性を持つ「退職前の年次有給休暇」について、対応を間違えると引き継ぎが全く進まず会社の業務に支障をきたすこともありますので、「残った有給休暇を買取る代わりに、引き継ぎをしっかり行って欲しい」といった提案をすることも方法としては必要だといえそうです。

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