年次有給休暇の買取りは原則違法です!
常に人手不足などの問題を抱えている企業の中には、従業員の年次有給休暇を買取ることで、取得率を上げようと企てる事業主も存在すると言われています。
しかし、年次有給休暇の買取りは、労働基準法の観点から「従業員の有給休暇取得を妨げる行為」と捉えられることもあるため、違法行為として問題視されています。
労働者の心身における疲労を回復させ、ゆとりある暮らしを保障する年次有給休暇制度は、その人のワーク・ライフ・バランスを充実させる上でも欠かせない制度ですので、事業主はその目的をきちんと把握した上で各種の調整をすべきといえます。
年次有給休暇の買取りができるケースも存在する!
基本的には買取りが違法(NG)である年次有給休暇ですが、その趣旨に反しないという理由で買取り可能になるケースも存在します。
・法律で認められた日数よりも多くの年次有給休暇を支給している場合
・時効によって消滅した有給休暇の買取る場合
・従業員が退職をする場合
法律よりも多くの有給休暇を与えている場合の買取りの考え方とは?
労働基準法で定めている日数よりも多くの年次有給休暇を支給している場合は、「超えた部分」にのみ買取りが可能となります。
年次有給休暇を全く消化していない従業員の場合は、「買い取られる有給休暇」と「買い取られない有給休暇」の2つが生じる形となりますので、きちんと管理をする必要があるといえます。
従業員が退職する際の買取りの考え方とは?
退職届を提出した従業員が、残りの有給休暇消化のために出勤を拒否したケースで有給休暇の買取りが可能となります。
出勤日数が限られている退職前の従業員の場合は、会社が有給休暇取得日の変更を指示する時季変更権の行使ができなくなるため、退職前の業務の引き継ぎや通常業務に支障が生じることを防止する策として買取りが可能となるのです。
このようなトラブルを回避するためにも、就業規則内に「退職時の引き継ぎ」に関する記載を加えることも良策のひとつです。
まとめ
基本的には禁止されている年次有給休暇の買取りですが、会社オリジナルの日数で有給を設けている場合、退職や時効といった特別なケースでは買取りが対応可能になることもあります。
有給休暇の買取りに関する判断は事業主のみなさんには難しい部分もあるかと思いますので、労働基準法に詳しい弁護士に相談をしながら対策を講じるのが理想といえるでしょう。