欠勤後に有給休暇の届け出を要求することは可能ですか?


img_72753948

従業員の欠勤後に年次有給休暇の届け出を要求できますか?

急な病気や私用で会社を休んだ従業員の中には、給与の出ない欠勤扱いになることをおそれて、「年次有給休暇の事後申請を認めて欲しい」と要求する方々も存在します。このような場合、事業主の皆さんはその要求に応じる必要があるのでしょうか?労働基準法の観点から、この疑問について考えていきます。

年次有給休暇は「事前申請」が基本

会社の業務運営に支障をきたさないことを基本とする年次有給休暇は、部署内の調整を行うためにも事前申請してもらう必要があります。もっとも、家族の病気や本人の風邪といった不慮の欠勤の場合は、多くの企業が年次有給休暇への事後振替を認めているようです。しかし、このような慣習によって「事前ではなく事後申請でも可能」という状況が生じてしまうと、会社にとってさまざまなデメリットが生じてしまうのです。

年次有給休暇の事後申請でメリットが得られるのは従業員だけ

年次有給休暇の事後申請を可能にすれば、「給与が減らない」といった意味でも従業員にとって嬉しい状況が生まれます。しかし、従業員の中には「今日は気分が乗らない」とか「天気が良いから出かけたい」という突発的な感情で有給休暇の事後申請を念頭において会社を休む人もでてくる危険性があるため、事後申請が急増する状況はなるべく避ける必要があるといえます。

事前申請を基本にすることで従業員の管理ができる

年次有給休暇の事前申請をきちんと徹底している会社では、従業員本人や家族の体調といった諸事情を良い形で把握することができます。特に通院による年次有給休暇が多いと把握できた場合は、残業時間の削減や部署異動といった対応もできるため、従業員の健康管理という意味でも好循環が得られやすいといえます。これに対して全ての年次有給休暇が事後申請になってしまうと、通院や家族の看病といった実際の休暇理由とは異なる事由を申告されることもありますので、事業主や上司の実情把握が難しくなるといえるでしょう。

まとめ

多くの会社が事実上認めている年次有給休暇の事後申請も、就業規則の中できちんと事前の届出に関する規定と事後申請を認める例外的場合の規定を設けて厳格に対処することで、その濫用が防止されて事前申請をメインとした運用を構築することができます。また、年次有給休暇の大半を事後申請する悪質な従業員に対しては、就業規則をベースに指導や教育を行うこともできますので、スムーズな対応が行えるようにするためにも信頼できる社会保険労務士や弁護士と一緒に就業規則における年次有給休暇の届け出に関する規定を整備しておくべきといえるでしょう。

≫有給休暇について詳しく見る

皆様のお悩みを全力で解決に導きます。

無料相談ダイヤル 0120-4284-99 年中無休24時間受付 無料相談のお申込み・お問い合せはこちら

についての法律コラム

get_footer(); ?>