法定休日と所定休日の違いとは?
みなし残業制度の対象となる労働者の割増賃金トラブルの多くは、事業者側で法定休日と所定休日の違いを把握していないことで生じる傾向が高いといわれています。
「法律で定められている最低限の休日」である法定休日は、原則として毎週最低1日、変形休日制の場合は、4週間を通じて4日以上といった労働基準法の範囲内で定められたものです。
これに対して,所定休日の考え方は、週休2日制の会社を例にすると、「週の1日が法定休日、もう1日が所定休日」となるのです。
この定義がわからないと「ウチの会社は週休2日だから、毎週2日の法定休日を与えている」といった解釈により間違った割増賃金の計算をしてしまう形となりますので、注意が必要です。
みなし残業制度のある会社では所定休日に出勤してもらうこともできる!
みなし残業制度を導入している会社が閑散期に入り、平日の残業時間が全くない状態が続いている場合は、みなし残業時間を所定休日にスライドさせることで従業員に休日出勤をしてもらうことが可能となります。
例えば月に32時間の残業代を払っていて、閑散期により各従業員の残業が0時間という状態が続いるケースでは、1日8時間の休日出勤を4回してもらうことで、残業時間数の相殺による調整を行うことができるのです。これにより,会社側がみなし残業代として割高な賃金の支払いをしていることを無駄にせずに済むといえます。
所定休日に従業員を労働させることで生じるリスクとは?
残業代の相殺目的でみなし残業として従業員に休日出勤をさせる場合は、その分、「心身を休めてリフレッシュする日が減る」ということに注意すべきです。
休日が少ない状態が続くと、従業員の精神的ストレスが増え、結果としてうつ病や生活習慣病などの発症リスクが高まることもありますので、残業時間と休日出勤を相殺する状態が続いている場合は、会社の就業規則自体を見直した方が良いかもしれません。
法定休日での休日出勤には割増賃金が発生します
従業員が法定休日に出勤する場合は、35%以上の割増賃金が発生します。
通常の残業や所定休日における出勤をする場合は25%の割増賃金での残業代が支払われているケースがほとんどですので、「普通の残業」と「法定休日出勤」の割増率が異なることをしっかり把握しておくべきといえるでしょう。
みなし残業制度の導入や残業代に関するトラブルでお困りの際には、労働問題関連に詳しい弁護士に相談をして早めの対策を講じるようにしてください。