企業ができる社内のセクハラ防止対策とは?


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ハッシュタグ#MeToo(ミートゥー)によりセクシャルハラスメントなどの被害に遭った女性たちが、体験の告白や共有を行うようになった今の時代は、企業の中で働くスタッフだけでなく会社自体を守るためにも、社内のセクハラ防止を徹底すべき状況が生まれています。

こうした取り組みをしっかり行う会社には、後述するさまざまなトラブル防止だけでなく、社内に多くの好循環が生まれる実態があります。

また時代の流れとも言える#MeToo運動は今後の日本でも増加する兆しもありますので、性的嫌がらせを軽視しない企業環境が社会の中で求められていると捉えても良いでしょう。

今回は、企業ができる対策を講じる前に知っていただきたい、セクハラの基礎知識などを詳しく解説していきます。

まずはセクハラの分類・種類を確認する

企業におけるセクハラ対策をする際には、まず経営者や各部署の上司などが「セクシャルハラスメントとは何なのか?」や「どんなことをしたらセクハラになってしまうのか?」という基本について頭に入れておく必要があります。

そもそもセクハラとは何なのですか?

セクシャルハラスメントという言葉には、性的嫌がらせや、相手の望まない性的言動の全てという意味があります。

こうした定義のあるセクハラには、被害者と加害者の間に認識のズレが生じやすいだけでなく、境界線についても曖昧という問題点があるようです。

そのため、企業においてセクハラ対策に向けた教育などをする際には、被害者からの訴えにより「そんなつもりはなかった」などの状況が生まれないように、さまざまな嫌がらせのパターンを従業員に把握してもらう必要があるのです。

またセクハラには、対価型と環境型という下記の分類がありますので、それぞれのカテゴリごとに教育資料などを作っていくことも、把握のしやすさといった意味ではおすすめ度が高いと言えそうです。

対価型のセクハラ

まず、会社内での地位や役職などを利用して、性的な服従をしなければ減給や降格、解雇などの不利益を被害者に与えるセクハラを、対価型と呼びます。

性的嫌がらせにパワハラ的な圧力をプラスしたとも言える対価型は、その求めに応じなければ仕事や夢を失ってしまうという意味でも、多くの被害者を追い詰めてしまう大変悪質な種類です。

環境型のセクハラ

続いて、視覚型・発言型・身体接触型の3種類で構成される環境型のセクハラは、加害者自身が性的嫌がらせであることに気づかないケースが非常に多いカテゴリです。

まずヌードポスターやわいせつ画像のWEBサイト、雑誌などを被害者の目の見えるところで閲覧するなどの行為により、大事な従業員の就業意欲を低下させるセクハラを視覚型と呼びます。

これに対して発言型は、性生活に関する内容や下ネタなどを話したり聞いたりすることで、当該従業員を不快にさせることを発言型と呼ぶようです。

最後に接触型のセクハラは、業務とは関係のない必要以上の身体への接触により生じる被害となります。

接触型のセクハラを何度も行う加害者たちの多くは、性的な意図があるわけではなく、純粋にスキンシップと思って被害者に触れるケースも非常に多いと言われています。

セクハラのある会社にはどんな問題が起こる?

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上記のパターンに該当するセクハラが行われている会社には、下記のような問題が起こりやすい実態があります。

有能な人材が会社を辞めてしまう

まずセクハラの多い会社に最も生じやすいのが、被害者が次から次へと退職してしまうことにより、優秀な人材が居つかない問題です。

被害者を退職に追い込むほどのセクシャルハラスメントが横行している会社では、どんなに人事担当者が頑張って採用活動をおこなっても、人材流出に歯止めがかからない状況が起こりやすくなります。

またセクハラにより数カ月で辞めてしまう従業員が多い場合、その人達にかけた教育期間のコストや時間なども会社にとって無駄になってしまうと捉えて良いでしょう。

訴訟を起こされる可能性もある

長きに渡るセクハラにより従業員が鬱病などになってしまった場合、会社や加害者に損害賠償請求がなされる可能性もでてきます。

明らかに加害者が悪いと判断できるレベルのセクハラであれば、請求された慰謝料の支払いなどもしなければなりません。

また訴訟対応に多くの時間や労力が割かれることを考えると、資金力の高い会社であっても裁判に繋がるレベルのセクハラは早めに防止する必要があると言えるでしょう。

悪い噂が流れる

MeToo運動によりセクハラや性的被害者がクローズアップされる現代では、こうした被害に遭った会社を辞めた従業員から裁判を起こされた会社には明らかに悪いイメージが付いてしまいます。

また取引先の会社で女性活躍に向けた取り組みなどをおこなっている場合は、こうした悪い噂により将来的な取引に支障が出ることもあると言えるでしょう。

採用活動にも支障が出る

セクハラによる訴訟などの実態が口コミサイトなどに投稿されれば、こうした情報を参考に就職転職活動をする優秀な人材も集まりにくくなります。

特に地域内に噂の広がりやすい地方都市にある会社の場合は、たった1度のセクハラトラブルによりハローワークなどに求人票を出しても全く応募がないといった状況が生まれるリスクも高まると捉えた方が良いでしょう。

またネット上にさまざまな口コミや評判が投稿されてしまう今の時代は、どんなに小さなセクハラ問題であっても起こさない心掛けが会社を守る良策になると言えそうです。

企業ができる「セクハラ対策」とは?

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セクハラ被害により会社にさまざまなトラブルを生じさせないためには、下記のポイントにしたがって自社のできる限りの対策を講じる必要があります。

セクハラ指針の存在を意識する

セクハラ対策をおこなう前にチェックしておきたいのが、平成26年7月の法改正で変更された「職場におけるセクハラ対策の指針」です。

雇用機会均等法にもとづき定められたこの資料に目を通すと、厚生労働省によるセクハラ予防や対策、再発防止策などが容易に把握できます。

またこの資料の内容を守らなければ法律違反に該当する可能性もでてきますので、義務ではなくともセクハラ指針に目を通す心掛けを忘れないようにしてください。

就業規則内にセクハラ規定を設ける

従業員の全てにセクハラ禁止であることを守ってもらうためには、社内ルールの土台となる就業規則の中にセクハラ防止条項や防止規定などを設けるのがおすすめとなります。

例えば、就業規則内でセクハラの定義や禁止行為、懲戒などの項目を設けると、万が一セクハラ被害が出てしまったときの対応もスムーズに行えるようになります。

また後々生じる「就業規則を見ていないから、これがセクハラとは思わなかった」などの言い逃れを防ぐためには、就業規則の確認後にサインをしてもらう仕組みを整えてみても良さそうです。

相談窓口を設ける

セクハラ被害者に泣き寝入りをさせないためには、会社側でセクハラの相談窓口を開設し、その存在を従業員に伝えておく必要があります。

こうした窓口に被害者が早い段階で相談することができれば、セクハラによる問題の拡大にもブレーキが掛かりやすくなるとも言えるでしょう。

また明確な相談窓口がなければ、企業におけるセクハラ対策とは不完全とみなされやすくなると捉えた方が良さそうです。

担当者の教育をする

「自分のやっていることがセクハラだと思わなかった」といった加害者の主張は、会社で行う教育によって防ぎやすくなると言われています。

特にボーナスの査定や人員管理などを担う管理職の人たちは、対価型のセクハラ加害者になりやすい実態がありますので、定期的な教育の際にセクハラやパワハラのNG事例を教えておくことも従業員を守る良策に繋がると言えそうです。

セクハラ事実の確認ができる体制を整える

被害者がセクハラに遭ったことを窓口に相談した場合、速やかかつ公平中立な立場で社内調査をおこなう体制を整えておく必要があります。

このポイントを疎かにすると、「会社に相談しても何も変わらない」と感じた被害者の離職や損害賠償請求といった状況が生まれやすくなるため注意が必要です。

またこれまでに一度もセクハラやパワハラの相談がなかった会社においても、万が一に備えて調査担当を決めておくことが被害の拡大を阻止する良策になると言えそうです。

被害者への配慮

窓口に相談をした被害者は、日々セクハラ被害に悩んでいる人たちです。

また場合によっては相談者以外にも被害者が多数存在する可能性も考えられますので、会社で行う社内調査を通して加害者が特定できたときには、速やかに自宅待機の支持や異動、解雇といった処分を行うようにしてください。

加害者への措置

セクハラ相談や調査結果により加害者を懲戒や部署異動などをする時には、その悪質性などからどの制裁が適しているかの判断をしなければなりません。

前述のとおりセクハラの禁止事項と懲戒処分の内容が就業規則の中に定められている会社は、その内容にしたがって処分を決定するだけで良い形となります。

これに対して就業規則の内容がアバウトな場合は、処分を不服とする加害従業員から労働裁判などが起こされてしまう可能性も出てきますので、対応時には被害者・加害者双方への配慮が必要になってくると言えるでしょう。

再発防止に向けて

加害者の処分などを経てセクハラ問題が解決した場合は、担当者の間で「何が原因で今回のトラブルが起きたのか?」を考えた上で再発防止措置を講じる必要があります。

こうした取り組みをきちんと行う会社には、同じようなセクハラやパワハラ被害による労使間トラブルが起こりにくい実態があります。

また実際に起こった問題から考えられた再発防止策を教育や就業規則に反映させれば、次に同様のトラブルが生じたときの対処もスムーズにおこなえると捉えて良いでしょう。

トップの姿勢がセクハラ環境に繋がることもある

次から次へとセクハラやパワハラの被害が起こる会社には、意外にもトップの姿勢に問題があるケースも少なからず見受けられます。

こうした企業の場合、部下となる管理職などに教育を行なっても社内全体の雰囲気が代わりにくい実態があると言われています。

そのため、会社の中でセクハラ防止策を講じる際には、事業主自身が「セクハラは絶対に許容しない」といった考えを持つ必要があると言えるでしょう。

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