境界が曖昧!?会社都合退職と解雇
会社都合退職と解雇は、その境界が曖昧なことで知られています。
例えば、企業側からの一方的な通告で労働者が解雇になった場合は、「会社の都合で解雇を命ぜられた」という感覚により、本人からすれば会社都合退職と取れることもあるでしょう。
また、会社都合退職には解雇のように労働基準法による明文化が行われていないため、企業や事業主、労働者によってその範囲や捉え方が異なるケースがほとんどと考えて良さそうです。
解雇ではなく会社都合退職にするメリットとは?
会社都合退職をした従業員は、7日間の待機期間の後、すぐに雇用保険の給付を受けられます。
解雇によって会社を辞めた従業員は、「倒産や解雇により離職を余儀なくされた」とかんがえられるため、結果として一般離職者と比べて優遇された形で雇用保険の受給が行われるのです。
こうして会社都合退職と解雇を比較すると、「従業員にとっては後者の方がメリットも高い」と考えられますが、解雇には会社側にとって意外なデメリットがあるため注意が必要です。
解雇をすることで会社側に生じるデメリット
従業員の解雇や退職勧奨を行なった会社は、半年~1年の間、厚生労働省が管轄している助成金を受けられなくなります。
このデメリットを知らずに従業員の雇用保険給付のことだけを考えて離職事由を「解雇」にしてしまうと、現在申請中の助成金の全てが却下されるため注意が必要です。
また解雇をした会社はハローワークから見てもあまり良い印象を持たれなくなってしまいますので、「地域の評判や信用」といった意味でも企業側からの一方的な退職勧奨は避けるべき存在と言えそうです。
まとめ
多くの事業主を悩ませる解雇と会社都合退職は、どちらも「企業側からの一方的な退職勧告であること」を考えると、事業主としては極力行うべきものではないでしょう。
また雇用保険受給を考えて離職事由を「解雇」にしても、「会社を辞めさせられた」という不満が消えることはありませんので、何らかの理由で退職を促したい従業員がいる場合は指導や教育、話し合いをした上で相互に納得できる道を選ぶことが理想といえます。
特に近頃では不当解雇による労使間トラブルが増えていますので、従業員の退職に関する判断は弁護士のサポートを仰ぎながら慎重に行うべきといえるでしょう。