労災打ち切り補償と解雇に関する興味深い判決


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労災の打切補償と解雇に関する興味深い判決

2015年6月8日、労災認定を受けて休職をしていた元大学職員の解雇無効を求めた訴訟に対して、最高裁判所は「使用者が打ち切り補償を支払うことで解雇が可能となる」という判決を出しました。この裁判の判決は「労働基準法と労災保険制度」の間に一石を投じたとも言われています。今回は、多くの事業主の頭を悩ませる「労災認定によって休職中の従業員を解雇させること」について、打ち切り補償の話を中心に解説していきます。

打ち切り補償と解雇に関する訴えはどんな内容だったの?

今回のテーマとなる裁判の事案は、頚腕症候群という首や腕の痛みにより2007年に労災認定を受けた男性(元大学職員)の訴えによるものでした。労災認定を受けてから休職をしていた男性を、大学側は約4年間雇用をし続けていました。しかし、2011年に大学側は、打ち切り補償の約1、600万円を支払い、この男性の解雇を行ったのです。この訴訟の争点は、「使用者が療養費負担を一切せず、労災保険が国から支払われている場合に、打ち切り補償の規定の適用が可能となるのか?」という点でした。

打ち切り補償で解雇は可能!判決の理由とは?

大学側が行った「打ち切り補償を支払ったタイミングでの解雇」を認めた裁判官は、「労災保険制度は事業主の災害補償責任を肩代わりしている」という判決理由を述べました。打ち切り補償の規定の適用は「使用者が療養費の費用負担をしていること」が前提となるかどうかの判断において、今回の裁判では4人の裁判官が全員一致する形で、そのような前提はなく、「労災保険の使用による療養費の支払いの場合であっても打ち切り補償による解雇は可能」と決定したのです。

本来の打ち切り補償とはどんな制度?

打ち切り補償というのは、事業主が療養費を負担し始めてから3年経っても治らない場合に、1200日分の賃金を「打ち切り補償」とした形で支払うことで、事業主側の療養費の支払義務が免除される結果、当該従業員を解雇できる制度です。つまり、この制度を使えば、労働基準法で禁止されている「病気療養中」や「業務上のケガで休職中」の従業員に対する企業側からの解雇が可能となるのです。

事業主にとって判断が難しい打ち切り補償による解雇

労働基準法と労災保険制度の2つが関係する「打ち切り補償による解雇」は、その判断だけでなく手続きの流れとしても事業主を悩ませることが多いと言われています。また今回紹介した判例では、一審・二審と上告審で真逆の判断が下されていますので、一般の事業主にとっては事前判断の難しい大変デリケートな問題であるといえます。
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