就業規則作成や変更の際に従業員代表の意見書を付ける理由
就業規則を作る際に従業員代表の意見書を付けることは、労働基準法第90条で定められた事業主の義務です。この手続きを怠って作られた就業規則は、労働基準監督署から指摘されるだけでなく、労使間トラブルの裁判時に無効になることもあるため注意が必要です。また従業員の過半数から不平不満が出るような就業規則は、社内の離職率を高める結果を招きますので、労使双方が納得できる内容にすることが理想です。
意見書の作成者は会社側で決められる?
労働基準法の第90条では、意見書にサインをする従業員代表者や、事業主が意見を聴く従業員の過半数の人選に関する規定は設けられていません。しかし、この意見書は公平性といった意味でも「従業員が自ら民主的に選んだ人」である必要がありますので、どんな人が選出されても事業主側でその選出された人を代表者と認めないことはできないと考えられます。
意見書に反対意見の書かれた就業規則は作り直しが必要?
就業規則作成や変更における意見書は、基本的に「意見を聴いた事実」を確認するものです。また、労働基準法では、「従業員の同意を得ること」までは求めていませんので、多少の反対意見があっても労働基準監督署に受け付けてもらうことは可能です。しかし意見書の内容が「不平不満や反対意見だらけ」といった状況の場合は、労働基準監督署から指導が入ることもありますので注意が必要です。
就業規則の意見書について困ったことがあった場合は?
就業規則の作成や整備は、労使間トラブルを回避するためにも欠かせないことです。反対意見が多い状態で労働基準監督署に申請を行なってしまうと、先ほど紹介したように従業員の不平不満が膨らむことで離職者や事業の支障に繋がる各種問題が生じやすくなると言われています。また意見書にネガティブな内容が多いということは、会社の就業規則作成時から雇用主と労働者の間に「意識のズレ」が生じているとも言えますので、そのまま放置せずに労働基準法に詳しい社会保険労務士や弁護士に相談をしながら、双方の妥協点を見出していくことが円滑な事業運営に繋がると言えるでしょう。
もし就業規則等に関し労使間トラブルが生じましたら、労働問題トラブルを取り扱っております四ツ橋総合法律事務所にお問い合わせください。