休職期間満了後における打切補償制度
傷病などによって従業員が休職をした場合、事業主が労働基準法第81条の規定にもとづき打切補償を支払う際には、療養のための休業期間中でも解雇をすることが可能な場合があります。また労働基準法の第81条、第75条によると、業務によって起因した傷病の場合、従業員が療養補償を受け続けていて、事業主側が1,200日分の平均賃金を支払えば、その後の療養補償を行なわなくてもよいことになっています。
傷病補償年金が支払われる場合も解雇ができる
業務上に起因する傷病が治らず、厚生労働省で定める傷病等級(1級~3級)に該当する場合は、療養開始後3年が経過した時点で解雇をすることが可能な場合があります。
このケースでは打切補償による解雇が認められる
労災保険法上の療養補償給付を受給している場合、労働基準法75条の療養給付でなくても打切補償の支払と解雇が認められることがあります。平成27年の判決では、労災保険法の療養補償給付を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても疾病等が治らない場合には、打切補償の支払をすることにより、療養休業中でも解雇ができると判断されました。
この判決からわかる事業主側が注意すべき点
療養のための休業期間中に従業員の解雇を検討する際には、「復職できる可能性があるか?」という部分を熟考する必要があります。また復職の可否の判断については、治療を行った主治医以外に、産業医などの第三者の意見を取り入れることで客観性と慎重を期す必要があるといえます。
まとめ
業務に起因する傷病によって会社を休まざるを得なくなった従業員の扱いは、多くの事業主が頭を悩ませるポイントです。また将来的な打切補償による解雇を目的に療養補償を支払い続けることは、会社側にとって多くのコストが発生するため、その点を注意した上で判断や手続きを進めるべきだといえるでしょう。こういった難点を抱える休職期間後の解雇に悩んだ際には、労働基準法に詳しい当事務所に相談をするのが理想的な問題解決につながります。