契約社員における社会保険の加入条件とは?


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契約社員として働く人の中には、社会保険の加入条件重視で求職活動をする方々が意外と多い実態があります。

こうした人達のために社会保険の加入しやすい体制や雇用条件を設けておくと、それだけ多くの求職者が応募をしてくれると言えそうです。

しかしそんな契約社員を雇用する場合、社会保険の加入条件を含めたさまざまな部分で、「正社員やアルバイトと何が違うの?」といった疑問が労使双方に生じやすい傾向があります。

特に幅広いワークスタイルの人々を雇用する事業所では、その違いを混同することで労使間トラブルが生じやすくなりますので、注意が必要です。

今回は、良い人材を集める上でも欠かせない存在になりつつある社会保険の加入条件から、契約社員の特徴を詳しくチェックしていきます。

契約社員とは?

会社と期間の定めのある有期労働契約を結び、常勤で職務に従事する労働者を契約社員と呼びます。

非正規雇用のひとつとなる契約社員は、期間契約社員や期間従業員、臨時社員といった名称で呼ばれることもあります。

一般的な民間企業では、契約社員に雇用契約書を交付することでアルバイト従業員との差別化を図ることが多いようです。

正社員や契約社員等の雇用区分における法的整理

正社員や契約社員といった雇用形態ごとの社会保険加入について考える場合は、下記のように労働時間の長短と契約期間の有無で従業員の分類をしていく方法が大変おすすめです。

・正社員  契約期間→無、労働時間→長
・有期契約労働者  契約期間→有、労働時間→長
・パート無期契約労働者  契約期間→無、労働時間→短
・パート有期契約労働者  契約期間→有、労働時間→短

この手段を実践すると、それぞれの契約内容に合った形で社会保険加入の判断を行いやすくなります。

また契約社員と正社員だけでもこれだけ多くのパターンが存在する実態から考えると、社会保険加入ができるか否かの判断をする際には入念なチェックが必要になると言えるでしょう。

有期契約労働者における社会保険の加入条件

一般的に契約社員と呼ばれる有期契約労働者の社会保険は、所定労働時間の短いパートか否か?というポイントでその加入条件が大きく異なる仕組みです。

ここではまず、正社員と同じ所定労働時間で働く契約社員について、加入の可否を確認していきます。

《雇用保険》

退職後の生活にも大きく関係してくる雇用保険は、正社員と同じ勤務時間で働く契約社員であれば、原則として加入可能となります。

ます全労働者が加入対象となる労災保険については当然、契約社員であっても入れる仕組みです。

《社会保険(厚生年金保険・健康保険)》

健康保険や厚生年金については、2ヶ月を超える期間で契約した場合にのみ加入できる形です。

これに対して2ヶ月以内の期間限定で短い雇用となる契約社員については、健康保険のみ日雇特例被保険者として取り扱われる仕組みです。

またこの契約社員の雇用契約が更新された場合は、期間満了の翌日から通常法被保険者として社会保険加入が可能になる形となります。

パート有期契約労働者における社会保険の加入条件

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正社員より所定労働時間の短くなってしまう、いわゆるパートの有期契約労働者の場合は、下記のような社会保険加入条件になります。

《雇用保険》

週の所定労働時間が20時間以上、尚且つ31日以上の雇用見込みという条件に該当すれば、雇用保険の加入が可能となります。

《社会保険(厚生年金保険・健康保険)》

1週間における所定労働時間が正社員の4分の3以上、尚且つ2ヶ月を超える契約期間の場合にのみ、加入可能という仕組みです。

こうした形で社会保険全般の加入条件が厳しくなるパート契約社員の場合、正社員と同じように働く有期契約労働者と比べて会社側の調整や配慮も難しくなると言えそうです。

契約社員でも社会保険なしというのはあり得るのでしょうか?

こうした形で契約社員の加入条件を並べてみると、それなりの雇用期間と所定労働時間という2点で条件が満たせていて社会保険に加入できないというのは違法だと考えられます。

しかし社会保険加入について考える時には、雇用契約とは関係なく事業所自体が任意加入でも可能なパターンがありますので、従業員の雇い入れをする事業主は自分の会社がどのカテゴリに該当するのかを確認しておいた方が良いと言えるでしょう。

《社会保険の強制適用となる条件とは?》

まず常時労働者を働かせている法人の事業所の場合、どんな事情があっても強制適用という形で社会保険の加入が必要になる仕組みです。

また適用事業所の条件は、事業主が1人で仕事をしている会社であっても強制適用となるため、注意が必要です。

《個人事務所でも社会保険の加入が必要な場合もある》

これに対して個人事務所の場合は、常時働かせている人数と業種によって適用の判断が変わってくる仕組みです。

個人事務所で必ず社会保険加入が必要となるのは、適用業種の仕事を行う5人以上を雇い入れているところとなります。これに対して非適用業種の場合は、従業員が5人以上いた場合であっても社会保険は任意となる形です。

《適用業種・非適用業種について》

社会保険加入が強制になる可能性の高い適用業種は、下記のとおりになっています。

・物品販売業
・製造業
・運送業
・土木建築業
・広告業
・教育研究調査業
・医療保険業
・電気供給業
などの16業種

これに対してお客様の予約によって出勤時間が変わってくる理美容・接客業・旅館業などのサービス業や、農林畜産水産業、会計事務所などの自由業については、社会保険加入の非適用業種に分類されているようです。

自由業だけでなく神社や教会なども含まれる非適用業種については、その全てを把握しくれない傾向がありますので、前述の適用業種16種類に該当しなければ非適用になるという考え方で自社のチェックをしてみると良いでしょう。

今まで加入していた社会保険を会社側で辞めることはできる?

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少しでも会社の人事コストを抑えたいと考える事業主の中には、今まで加入していた社会保険をやめて、従業員個人に健康保険などに加入してもらえないだろうかと考える方々も少なからず見受けられます。

《社会保険加入は法人の義務》

こうした疑問を抱いた時にまず確認すべきなのが、法人であれば自分ひとりであっても社会保険加入が義務であるということです。

また自由業とサービス業を除き従業員が5人以上いる個人事務所であっても、条件に該当していれば社会保険加入をしなければならないと言えるでしょう。

《社会保険の脱退ができるケースもある》

しかし事業縮小により法人の解散や廃業などをした場合は、社会保険の全喪手続きが可能となります。

このケースに該当する時には、労働基準監督署・公共職業安定所・年金事務所でそれぞれの手続きを行う形です。

しかし個人事務所になっても今までどおりの従業員を雇い入れする場合は、今まで入っていた社会保険加入が難しくなることを早めに伝える必要があると言えるでしょう。

社会保険加入で良い人材が集まりやすくなる

職探しをする契約社員希望者を含めて多くの人が注目する社会保険には、加入によりさまざまなメリットがあるとされています。

またこうしたポイントを頭に入れた上で採用活動を行うと、契約社員として働きたいと感じている人達の希望条件なども良い形で理解しやすくなると言えるでしょう。

《自己負担が減る》

会社で社会保険加入する最大のメリットは、健康保険や厚生年金保険料などのお金を雇用者と労働者で折半して支払えることです。

こうした形で支払うべき費用の半分を会社に負担してもらうと、それだけ従業員がプライベートで使えるお金が増えると考えられます。

社会保険加入のできる企業に入ると給与の手取りが下がってしまうという声もあるようですが、個人事業主のように全額を自分で支払うことを考えるとそのメリットは非常に高いと言えそうです。

《老後の年金額が増える》

高齢化社会により将来の社会保障に不安要素の増える近頃では、老後に受け取れる年金額を増やすために社会保険重視で職選びをする方々も多く見受けられるようになりました。

こうした形で将来を見越して社会保険加入を希望する人達のことを考えると、契約社員でも社会保険加入を可能とすることで多くの良い人材が集まるメカニズムも理解しやすくなると言えるでしょう。

《手厚い保障制度》

妊娠・出産・病気といったさまざまなリスクやライフイベントに備えるためには、社会保険加入による手厚い保障制度が労働者にとって大きな魅力になるとも考えられます。

例えば、病気やケガを理由に3日以上の長きに渡って会社を休む場合は、規定の条件さえ満たすことができれば、4日目以降に傷病手当金を受けとることができるのです。

また女性のワークライフバランスを保つ上でも欠かせない出産育児一時金や出産手当金についても、条件を満たしていればパートタイマーの方々でも受給できる形となりますので、充実した保障制度を提供できる会社には男性だけでなく女性の人材も集まりやすいと言えそうです。

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