会社都合と倒産で退職した時の失業保険
倒産やリストラを含めた会社都合で仕事を失った場合には、失業保険受給の際に自己都合退職とは少し異なるメリットが従業員側に与えられます。この実情を知っておくと、会社側から告げる退職勧奨を行う際に参考になるので、円満退社を増やすためにも、これから紹介する内容にぜひ目を通してみてください。
特定受給資格者と特定理由離職者
今回の主テーマとなる会社都合で退職に至った人たちは、判断基準に該当していれば失業保険におけるメリットの多い特定受給資格者に当たります。類似のキーワードとして存在する特定理由離職者については、正当な理由のある自己都合退職を指す言葉ですから、この両者は全く違うものと捉えてください。
特定受給資格者の判断基準とは?
特定受給資格者として失業保険受給上のメリットを得るためには、国で定めた基準に該当する必要があります。今回は、多くの退職者に該当することの多い「倒産などの理由」と「労働条件相違による離職」について少し詳しく確認していきます。
《倒産などの理由》
この理由の中には、会社更生法や民事再生法、破産などの申立てによって生じる倒産以外に、事業所内の大量雇用変動や事業所の廃止、移転といった内容も含まれます。事業所の移転によって通勤困難に陥った人も特定受給資格者に当たるので、意外とその判断基準は幅広いと考えていえます。
《労働条件相違による離職》
雇入れの際に交わした雇用契約と全く異なる事情だった場合も、特定受給資格者の判断基準に該当することがあります。特に賃金については、契約額の3分の1を超える金額が2ヶ月連続で支払われない場合や、離職前の6ヶ月の間で3回に渡って同額の支給のない場合も、特定受給資格者に該当します。また賃金が85%未満に低下したときにも、特定受給資格者に該当します。
この他にも特定受給資格者に該当する例は多く存在します。昨今では、メディアで取り上げられるような「セクハラや事業主側の原因によるもの」といった基準によっても多くの離職者が出ており、特定受給資格者に該当する場合があります。従業員同士のハラスメントを予防することも事業主が行なうべき取組みだといえます。
まとめ
今回紹介した特定受給資格者に該当する退職者の中には、突然の退職宣告に不満を抱えて裁判所への訴えを起こす人も少なくありません。会社の倒産や事業所の廃止といった事由は、企業が存続するうえでも避けることの難しい事柄ですが、それ以外の事由については問題解決に向けた努力をすることも事業主にとって必要な心掛けだと言えるでしょう。会社都合による退職や失業保険についてわからないことがありましたら、労使トラブルに発展しないうちに当事務所に相談してみてください。