就業規則の閲覧不可
会社設立時に作成した就業規則は、従業員が自由に閲覧できる状態にして初めて効力を持つ形となります。
従業員に対してサービス残業などをさせている事業主の中には、わざと就業規則を閲覧できない状態にして、「規則がわからなければ、どんなことを強いても良いだろう」と考えている方々もいるようです。
しかし、このような行為は、結果的に事業主にとって不利な状況になることが考えられますので、トラブルが起きないうちに閲覧制限を解除すべきです。
どんな時に就業規則を閲覧できないことが問題となるの?
従業員に就業規則を閲覧させないことが問題となるのは、サービス残業などの「雇用契約に違和感を覚えるトラブルが起きた時」です。
自分の契約内容に違和感を覚えた従業員は、残業や有給休暇の規定に対して「一体どんなルールになっているのだろう?」と考えるが普通のことといえます。
また労働基準監督署や弁護士といった労働基準法に詳しい者に従業員が相談をした場合は、「就業規則がどうなっているか確認をしてみてください」と言われることがほとんどのため、従業員が閲覧不可の状況がおかしいことに気づくケースは意外と多いと考えられます。
就業規則の閲覧不可によって生じる罰則とは?
事業主が就業規則を閲覧できない状態にしている場合は、労働基準法第120条1項に基づき30万円以下の罰則が課せられます。
また、従業員が就業規則の閲覧を請求するのは、「労働者の権利」ですので、この行動に応じない場合は「労働基準監督署に通告されても仕方ない」と捉えるようにしてください。
就業規則の閲覧方法にはどんな種類があるの?
インターネットの普及によりグループウェアを導入する企業が急増した今の時代は、共有のサーバ内に就業規則のファイルをおいて、閲覧だけでなく編集や更新を行えるようにするケースが多く見受けられるようになりました。
また期間限定契約の従業員が多い会社の場合は、雇用契約書と一緒に就業規則の一部を配布するという方法もありますので、使用者としては自社のシステムに応じた形で「自由に規則を閲覧できる仕組み」を講じるべきといえます。
就業規則の閲覧方法について疑問や不安を抱えている場合は、従業員や労働基準監督署から指摘される前に労働基準法に詳しい弁護士に相談をするようにしてください。